2025/09/15 20:24

駅のホームで、一羽のアゲハ蝶を見つけました。
蝶は地面に落ちていて、死にかけている様子でした。
時々羽根をふるわせるのだけれど、羽ばたくことは、もうできなさそう・・・

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その様子を見て、以前の私だったら、
「死んじゃうんだ、かわいそう」
「せめて草花がある場所に移してあげれたらいいのにな」
と感じたかもしれなかったけれど、

しずかに、その蝶を見つめていると、
私のこころに、こんな風景が浮かんできました。

それは、
アゲハ蝶が、青空を舞う姿。

蛹から孵り、はじめて空へ飛び立った瞬間。
仲間と一緒に舞う、その優雅な羽根の動き。
風や花の香りを感じながら、空へ溶けていく様子。

もしかすると、
これは、この蝶がこれまで見てきた風景だったのかもしれません。

そのとき、
「訪れる死を悼む」とは別の”何か”が、
私の中で、しずかにひらいていくのを感じました。



そして、翌日。

家の近くを歩いていると、ふたたびアゲハ蝶を見つけました。
駅で出会ったのと、まったく同じ柄の、蝶。
ただ、その蝶は陽だまりの中、
草花の周りをひらひらと飛んでいました。

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すると、なんだか、こんなふうに感じたんです。

駅で私のこころが見つめた、蝶が元気だったころの姿。
あるいは、
”移行”した先で、元気に舞う蝶の姿。

それが、目の前の蝶に、
映し出されているのかもしれない。


駅で見つめた、ひとしずくの終わりは、
どこかでまた形を変えて・・・
ひっそりと、続いているのかもしれません。
今、この瞬間も。